英国ワインの概要
首都ロンドンは北緯51度(北海道が43度)と少し前まではブドウづくりには寒すぎる地域でした。ところが近年の温暖化に伴いブドウの熟度が十分に得られるようになり、ワインづくりが急激に発展し世界的にも注目される産地になっています。2025年にはワイナリーは238軒にまで増加、ブドウ栽培面積はこの20年で6倍と急拡大を続けています。英国ワインの大きな特徴は、生産量の約7割がスパークリングワインであること、またそのほとんどがトラディショナル製法でつくられることです。
英国のスパークリングワインを高品質にする要素は、気候条件と土壌。温暖化した英国の気候条件はフランスのシャンパーニュやブルゴーニュに近く、ブドウの栽培に非常に適した気候になってきています。さらに英国の寒冷な気候が長期熟成に必要な酸を十分に与えます。イングランド南部の土壌はシャンパーニュ地方と同じ白亜の石灰質土壌が多くみられます。この土壌がスパークリングに適した良質なブドウを育てます。

英国は小規模な生産者が多く、それぞれが特徴を持った個性的なワインを生み出しています。スパークリングだけでなく、ピノノワールや固有種のバッカスを使ったスティルワインも生産されており今後のさらなる成長が期待されています。今なお急成長を続けており、まさにこれから期待のワイン産地なのです。今から5年後、10年後にはさらに違った特徴をもつであろう英国ワインの変化を一緒に味わっていきませんか?

おもな産地

最大の産地は南東部のケント州。ドーバー海峡を通じてフランスのシャンパーニュ地方に続く白亜の土壌が特徴です。この土壌と英国内では温暖な気候からブドウ栽培に最も適した地であり、大手メーカーやシャンパーニュメゾンなどもこのケントの地でブドウ栽培に取り組んでいます。

続いてサセックス。イーストサセックス州とウェストサセックス州に分かれるこの地域は、英国で最も日照が豊富で温暖。西部から続く白亜の地層に由来するチョーク質や砂岩質の土壌と豊かな日照の中でブドウが成熟します。

このほかハンプシャーやエセックス、サリーなどが続き、イングランド南部を中心に広い範囲でブドウづくりが行われています。また、ロンドン以北やウェールズなどでもワインづくりが行われるようになっており、それぞれの地域で個性豊かなワインづくりが盛んに行われています。

イングリッシュスパークリングワイン

イングリッシュスパークリングワインはトラディショナル製法で最低9か月、滓とともに瓶内熟成する必要があります。トラディショナル製法は、シャンパンと同じ製法。樽やタンクで一次発酵ののち、瓶内で酵母の滓と共に二次発酵させることにより逃げ場のない泡がワインに溶け込みます。さらに長期熟成することによって、きめ細やかで繊細な泡立ちの上品な口当たりに仕上がります。

見た目の特徴は、美しいゴールドに立ち昇る細やかな泡。それぞれの品種由来の華やかな香りに加え、長期瓶内熟成による酵母由来のブリオッシュやドライフルーツの高貴で複雑な香りを併せ持ちます。長期熟成することにより、泡立ちは細かく複雑で奥行きのある香りと味わいに仕上がり、余韻まで心地よく包み込みます。

ブドウ品種

イングリッシュスパークリングに使用されるのは、主にシャンパンと同じシャルドネ、ピノノワール、ピノムニエ。この3品種でイングランド全体のぶどう生産面積の約75%を占めます。シャルドネは酸とフレッシュ感を、ピノノワールはボディとコクを、ピノムニエはフレッシュな果実味をワインに与えます。それぞれの地域や収穫年の特徴によってブレンドするキュヴェや白ブドウのみのブラン・ド・ブラン、黒ブドウのみのブラン・ド・ノワールなどブドウの個性を引き出すスパークリングワインが生み出されます。

またスティルワインでも、英国固有種のバッカスや冷涼な気候でのピノノワールなども近年国際的に高い評価を得ています。

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